–良いGKとして生き残っていくために、選手は何を兼ね備えていなければいけないでしょうか?
まずは、GKというポジションを好きでなければいけないね。そして、練習をしっかりと行うこと。
GKというポジションは素晴らしいけど、その分、練習はとてもハードだ。そして時には、練習後に負傷してしまうこともある。
さまざま試練を乗り越えなければならないのがGKだね。強いメンタリティーが必要なポジションでもあるよ。
僕たちGKは、ミスから学ぶことが大事だ。ミスをしてもめげてられない。頭を使う必要があるよ。
あとは、どんなスポーツも同じだと思うけど、練習に対するモチベーションが高くないとダメだね。
近年は、さまざまなテクノロジーのおかげで、効率的で確かな練習ができるね。このメリットは、若手選手の育成にとって素晴らしいことだと思う。
僕たちが若かった頃にはなかったモノだからね。
–プロになれるかどうかを決める年齢はいつ頃だと思いますか?
決まった年齢は特にないと思うよ。早くから成功するGKもいるし、身長などの理由に遅くからGKを志す選手もいるからね。
GKは若い頃には大成しないポジションだ、と考えている若い子も多いと思うよ。才能を開花させるために、忍耐も必要だけどね。
一つアドバイスできるとすれば、ここイングランドではよくあるんだけど……選手はコンフォートゾーン(居心地の良い場所)に居続けてはだめだよ。
試合に出れない選手は、他のチームに移籍してまでもプレーできる環境に身をおかないといけないね。楽を覚えたら成長はないよ。
実際にプレーをして試合に勝つことで、自分は本当にアスリートの一員になったと実感できると思うんだ。
僕にも何度かあったんだ。ボカのようなビッグクラブに在籍こそしているけど、プレーをするチャンスがないことが。こういう時には、プレーの機会を得るため、他のチームに行くことが賢明だと思うね。
たとえ、今よりも格下のクラブやリーグだったとしても。試合に出ることは、すごく重要なことだよ。
–GKはヒーローにも戦犯にもなりうるポジションですよね。
それはGKの宿命かな。良いプレーをしたからって必ずヒーロになるわけではない。
けど、ミスをしてしまったら悪者だ。もしミスをしてしまっても、GKには同じ試合の中でリベンジするチャンスがある。
悪いプレーを挽回することだってできる。
–試合内に犯したミスを一旦忘れ、そこから評価されるということですか?
そうだね。GKは常にスイッチを切り替えなければいけないポジションさ。
試合中に、チームやチームメイトに、自分が必要だと思ってもらうためにね。試合とはそういうものだよ。
各選手そういう心構えでプレーしているんじゃないかな。
–良いセーブをした時にはどういう気持ちですか?GKが好セーブを見せると、チームに希望が湧きますよね。
もちろんだよ。特にPKなんかは、得点をされる可能性が非常に高い、大きなピンチだよね。チームにとって勝敗を分ける大きな場面だ。
もしそこでPKをセーブできたのなら、チームを鼓舞することができるよね。あなたが言ったように、好セーブをすればGKとして、とても満足さ。
良いセーブをするには、質の高い準備が必要だよ。試合中、正しいステップ&正しい反応ができた時は、陶酔感すら得られる。
この一度の完璧なセーブのおかげで、辛い練習も報われたと感じるんだ。
–あなたは、試合に向けてどのような準備をしますか?
セーブ=運ではないことは断言できる。全ては練習の成果さ。
ビデオを見て分析したり、相手選手のキャリアや傾向などにも気を配る。試合中、いかに的確な判断が下せるかが重要なんだ。そのために練習がある。
–相手がどこに蹴るのか、蹴り方などにも注目しますか?
時には相手を騙すために、わざと違う方を見る時もあるよ。人に言われたことをしてミスするよりも、自分で判断を下し、ミスをしたのなら納得がいく。
ケパ(チェルシー時代のチームメイト)や、他のGKにもよくそういったことを言うんだ。
自分の考えや心に従って結果を出せた時、初めて達成感を得られるものだよ。人の言う事を聞いていただけでは、こんな満足感は生まれないさ。
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To Be Continued…(vol.2の投稿は8/27(日)予定)