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NPO法人国境なき子どもたち(KnK)松永 晴子:インタビューvol.2「日本にいる私たちができる“難民支援”」

現在、8万人ものシリア人難民が生活するヨルダンのザアタリキャンプで活動している松永晴子さん。イスラーム文化という全く価値観の違う子供たちを前に、今彼らに必要な教育とは何かを考え、日々行動しています。「彼らのことを理解したい」という気持ちから教師を続け、ヨルダンでの生活も8年目を迎えた彼女に、難民キャンプで働くことになった経緯や難民キャンプの様子、そして、私達日本人ができる本当の支援とは何かを聞きました。

1980年生まれ。愛知県出身。筑波大学で彫刻を学んだ後、ベトナムの日本人学校で教師をした経験をもつ。現在は、NPO法人「国境なき子どもたち(KnK)」にて活動しており、ヨルダン在住。シリア内戦によって、心に傷を負い、十分に教育を受けることの出来なくなった子供たちに、音楽や演劇、美術などの情操教育を通じた心のケアと教育を行っている。

松永さんを支える“イッシャ・アッラー”のマインド

ーー8年間もヨルダンで活動を続けてらっしゃいますが、そのモチベーションはどこから来ているのでしょうか?

まずひとつは、すごくシンプルに、「他人のことは、限りなく自分が興味を持って人として好きならば、理解ができるはずだ」という考えです。もしくは「好きな人たちのことは限りなく理解したい」ということ。そして、私はそれができると思っている。

それから、「まだ、あんまり自分が本当にやりたいことがちゃんと出来てないんじゃないか、もっとできるんじゃないか」というのがふたつ目。

みっつ目は、流れです。この国もそうですけど、イスラム文化には、「イッシャアッラー」っていう言葉があります。「神様、つまりアッラーが望むなら」という言葉です。私はいつもそのマインドなんだと思います。

だから、アッラーを含め、この国の人たちが私のことを必要としなくなるタイミングが来たら、私は、「あ、これはアッラーがお呼びじゃないんだな」ってことで、潔く帰ろうって思っています。それは私が選ぶことじゃなくて、例えば「授業を止められる」とか、「お金がなくなる」とか、「私が病気になる」という「私が帰りたい」、「私がどうにかしたい」という事じゃない、外部要因的なものです。
今の所は、何だかんだで仕事も続けさせて頂いているので、これはアッラーがまだ居ろということなのかなって思っています。

ーー好きな人たちのことを理解したいということですけど、どうしてそんなにシリアの人たちが好きなのでしょうか?

シリア人の女性って本当にすごいと思うんです。旦那さんは家を不在にしていることが多いし、6,7人の子供の面倒を見ないといけないし。そんな中、私に「家に来なさい」って誘ってくれます。最終的にはこういう人になりたいなと思いますね。私はシリア人のお母さんを見て、本当の心のオープンさというものを知りました。その国に行かないと、その人たちのことは本当に知れないって思うんです。仕事として行くのも良いんですけど、でもやっぱり距離が近いのって、現地の人と近い目線で活動ができるボランティアかなと。

日本人は“難民”を自分たちに関係のない“カテゴリー”としてみている

ーー日本人もシリア難民キャンプに行って交流する機会があったら、もっとシリアや難民のことを考えると思います。けれど現実問題それが難しい中、私たち日本人ができることは一体何でしょうか。

例えば難民のこととか、やっぱり“難民”っていうカテゴリーで、「全然私たちとは関係のない人たちだ」と思っている人たちが多いから、日本の難民の受け入れに関する様々なプロセスの問題であったり、色んな移民の人たちや外国人の人たちに対する態度であったりが全然改善されないと思っています。どこかで、「自分たちとは別物だ」っていうところがきっとあって。

だから、それこそ私がずっと意識していることと同じだと思っています。「理解しよう」っていうこと。そのきっかけが何なのかわからないけど、そここそが、私たち知っている人間が頭を使わないといけないところだと思っています。そういう点で、私はまだ全然出来ていないんですけれど。

そして、もし興味を持ったのならば、みんなが、シリア難民のためにヨルダンに行くまでしなくても、全然いいと思っています。日本人の近くにいる人、例えば、近所で働いている外国人とか、子供と同じクラスにいる違う国籍の子とか、そういう人たちに対して、みんなが少しずつ理解を深めていく方が、遠いところに気持ちを飛ばすことよりも簡単で、しかも自分たちがより良い社会を作るための、きっかけになると思っています。

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