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ロレンツォ・インシーニェ独占インタビュー『フィジカルのハンデを乗り越えて』

163cmという小柄ながら、対峙する相手DFを手玉に取り、いとも簡単にゴールやアシストを奪ってしまう選手がいる、ロレンツォ・インシーニェだ。

イタリア代表が優勝したEURO2020での活躍が、記憶に新しいのではないだろうか?

インシーニェは、屈強な相手DFに囲まれても全く動じず、スピードの緩急と細かな切り返しを多用し、ゴールへ向かうプレーが持ち味だ。

また、右足から繰り出されるキックのレンジも広く、わずかなスペースを与えようものなら、簡単にゴールを決めてしまう。

しかし、そんな彼がここまで辿り着くにはかなりの苦難があったようだ。天才的なプレー見せながら、決して順風満帆では行かなかったキャリア、彼のサッカー感、若手選手に思うこと、などについてメディアコネクトが独占インタビューを行った。

▼インシーニェはどんな選手??▼

生年月日:1991年6月4日(30歳)
出身地:イタリア・ナポリ
身長:163cm
体重:59kg
在籍チーム:ナポリ
ポジション:F W/MF
背番号:24
利き足:右足
経歴:2009- ナポリ/2009-2010 カヴェーゼ(ローン)/2010-2011 フォッジャ(ローン)/2011-2012 ぺスカーラ(ローン)/2012-2022 ナポリ/2022- トロント

–ロレンツォ、ここナポリで成長する上で、何が一番大変でしたか?サッカー選手として

ナポリだけじゃなくてイタリア全体に言えることなんだけど……

たとえスキルの高い若手選手だったとしても、プレーできる機会をなかなか与えてくれないんだ。

けど確かに、僕がセリエC(イタリア3部)、セリエB(イタリア2部)でプレーしてきたように、若手選手にも下積みは必要さ。チームは若くて良い選手に、プレーをさせる勇気が必要だと思う。良い選手に年齢は関係ないよ。

なぜならバルセロナやルイス・エンリケのスペインを見て皆よ。彼らは2003年、2004年生まれの若い選手をちゃんと起用しているね。素晴らしいことさ。

ここイタリアでも、チームは勇気を持って若手選手を起用する必要があると思う。ここにも多くの素晴らしい若手がいるからね。

–イタリアには多くのスポーツがあります。子供たちにはたくさんの選択肢がありますよね? あなたは何歳くらいの時に「僕はサッカーで成功するんだ」と心に決めましたか?

子供の頃、何度も心が折れそうになったよ。けど、プロサッカー選手になることは、常に僕の夢であり目標だった。

チームに入るセレクションでは、よく背の高い選手が選ばれてたね。そういう時には悲しくなったし、何度もサッカーをやめようかと思ったよ。

みんながこうやって僕を見限るなら、背の低い僕はもうサッカーなんてできないよってね。

けど「強い気持ち」「絶対にサッカー選手になるという意志」「夢見ることをやめなかったこと」のおかげで、こうして夢を叶える事ができたんだ。

–いつくらいの時期から「僕はサッカー選手になれる」と確信しましたか?

僕は、子供の頃から常に自分に厳しくしていたんだ。週末に友達と出かける時には、一番早く家に帰っていたよ。次の日に試合があったりするからね。サッカー優先の生活をしていたね。常に高いレベルでプレーをしたい、そんな気持ちを持っていたよ。

成長するにつれ、自分のポテンシャルに気づきはじめたんだ。だから、もっと開花するために練習を続けたんだ。

さっきも言ったけど、セリエCやセリエBでの経験が、僕をより成長させてくれたんだ。

プロになって10年以上になるけど、毎年多くの経験をしているよ。

–ストリートサッカーから得れるものは何だと思いますか? 南米だと、友達同士がストリートでプレーしますよね。ピッチでの創造性はストリートから培われると考えられています。

僕は、サッカースクールで基礎を学んだわけではないかな。スクールに入った時には、すでにプレーの仕方を知っていたんだ。友達とはよくストリートサッカーをしていたね。ストリートサッカーは「世界で一番のサッカー」だよ。

なぜなら、誰も何も教えてくれない中で、ありとあらゆることが偶発的に起こる。こういったアイデアをピッチ上にも持ち込んでいく必要があるよね。

試合中に本能でプレーすることや、流れるような動きができた時、友達と遊んでいたような感覚を思い出すんだ。とてもいい気分になるよ。

サッカーは本来、楽しむものだからね。けど試合で、毎回そう感じるわけじゃないんだ。試合では、勝たなければいけないプレッシャーやファンからのプレッシャーが付いて回る。そういう時はときどき「サッカーは楽しむものである」ということを忘れてしまう。

僕は常に、ピッチに立つ時は楽しもうとしている。簡単じゃない時もあるけどね。

なぜならさっきもいったけど、たくさんのプレッシャーがあるから。それらのプレッシャーは、多くの重大なミスを招くことがあるんだ。けど僕は、そうならないように努めているし、より良くなれるように取り組んでいる。

–イタリアは伝統的に、フィジカルを重視し守備的なサッカーを好む傾向があります。フィジカルに不安のある若手選手はどのように取り組むのが良いのでしょう?

そうだね。けどその部分を変えていかなきゃいけないと思ってるよ。僕は子供の頃、フィジカル的な不安がかなりあった。

しかし、僕には決意があったから、夢を達成できたんだ。僕がフィジカルに悩む若い選手にアドバイスできるとしたら、よりサッカーに打ち込み、克服する努力を怠るなと伝えるよ。そうすれば、より高いレベルにたどり着けるね。

イタリアはもう少し、若手選手のことを信じなければならないと思う。

イタリアには多くの優秀な若手選手がいるからね。けどチームは、若手選手を起用するのが怖いんだ。若手選手が試合でミスしたり、それをファンが叩いたり……選手によっては成長に支障が出る人もいるからね。選手とクラブ、ファンが一丸となって育てれば、イタリアから必ず良い若手選手が出てくると思う。

たとえば、ナポリのユースにも素質ある若手選手がたくさんいるよ。けどトップチームでプレーするためには、経験が必要だと考える人も多くいる。クオリティーが高い選手なら若手であれ、彼らが言うほど多くの経験がなくてもプレーができると思うんだ。

けど、これはクラブが決めることだからね(笑) 僕はただ自分の意見を言うことしかできない。若手選手の起用という面で、もっと良くなっていけるといいよね。

–ピッチ内外でのマラドーナ(ナポリの永久欠番、象徴)の影響力についてどう思いますか?

ナポリ人にとって、マラドーナは多くのことを意味するんだ。ピッチ上で戦う彼の姿を映像で見ると、感情的になるよね。たくさんの映像を見たよ。

彼のように、プレーに対する欲望とピッチ上での決意、最高のテクニックを持ってすれば、誰にでも素晴らしい結果がついてくると思う。

–13、14歳くらいの選手へ、すべきこと、すべきでないこと、あなたから伝えられることはありますか? あなたには経験があります。もし若い頃に戻れるとしたら、これまでの歩みとは違うことをしますか?

しっかりと学校に行って勉強しないとね。僕は勉強があまり好きではなかったから、いい手本になることはできないけど(笑)。けどもし過去に戻れたとしたら、勉強とサッカーを両立できるよう努力したいかな。

学校は大切だよ。あとサッカーの面では、テクニックがあまりなくても、セリエAまでたどり着き、数多くのトロフィーを獲得している選手もいる。

プロになる決意を持ち、懸命に打ち込むことができれば、技術面は上達すると思うよ。

–プロサッカー選手として、サッカーのどんなところが好きで、何が嫌いですか?

僕はプロ選手として、サッカーをプレーするのが好きだよ。多くのサッカー人が子供の頃から出場を夢見る、チャンピオンズリーグ、ユーロ、ワールドカップのような大舞台でプレーするのが好きさ。

あまり好きになれないのは、イタリアだけでなくサッカー界全体に言えることだけど……必要以上のプレッシャーがあったり、ファンが問題を起こしたり、クラブが選手を追い出したりすることかな。

なぜなら選手は、勝つためでも負けるためでもなく、楽しむためピッチに上がっているのだから。もちろんその後に、ネガティブな結果、またはポジティブな結果が出るんだけど。

今後、勝利に対するプレッシャーをもう少し和らげ、選手がより楽しんでプレーできるようにしていかなくてはいけないね。僕たち選手が楽しんでプレーできれば、観客ももっと楽しむことができる。結果的に素晴らしいショーになるよね。

End(お読みいただきありがとうございました。完 )

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